メディカルヨガによくある質問(1)
まず、これこれの病気(症例)向けのヨガの研究はありますか、という質問が多くあります。もちろんアメリカをはじめとし、ヨガのリサーチャーたちが非常に様々な症例のもとヨガセラピーの研究に取り組んでいます。
しかし、こんなエピソードで大切なことをご紹介できればと思います。
アメリカでもやはりこのような質問をする人は少なくありません。
ハーバードメディカルスクールの先生はこう問いかけます。
「今まで、みなさんのところにはありとあらゆる病気の方々が、ヨガセラピーを頼りにクラスに参加してきたと思います。みなさんの中で生徒さんが元気になって帰っていってもらった経験がある方、どれぐらいいますか?」という質問に、ほとんどが全員挙手をするのです。
つまり、これこそがヨガセラピーにおけるエビデンスなのです。この病気だから、こう、ということを細かに考えていくことではなく、どんな病気もストレスや緊張とは無縁ではない、ということです。
リラックスするということが(別な言い方をすると、緊張やストレスから解放されることが)、薬や手術だけの治療に比べ、いかに病気の人をも元気にできる可能性があるか、ということ、もっというと、薬や手術を否定することではなく、薬や手術を用いた治療法にリラクゼーションはさならる力を与えることができる、ということなのです。
ほらね、みんなしっかり生徒さんを元気にできているのです。
だけど、勉強を始めるとどうしても近視眼的になってしまう。この病気には、何が効くのだろう、ということを考えてしまいます。そんなに狭く考える必要はないのです。
私はヨガセラピーのこういう考え方が好きで、勉強しているのだと思います。
世の中には万能薬はない、ということを知ることが、一番の万能薬だと思うのです。万能薬があるとすれば、それは自分の心の中にあり、それを引き出してくれるのが心と身体の緊張を解き放つ経験であり、心を開いて世界とつきあっていくことだと思います。
世界を憎めばつらいことでしょう。世界を愛し、感謝すれば幸せなことでしょう。