メディカルヨガ

メディカルヨガ

腰に痛みがある人も安心してできるヨガ

慢性的な痛みを抱えている人の脳と神経は、そこに動きを加えることを過度に怖れています。怖れているのでますます心身が緊張し、ヨガどころではありません。

「痛みがあるところは動かさないから大丈夫だよ」と、脳と神経が安心するアプローチが必要です。

あおむけになって、膝を立てて目をつぶります。足の裏が地面についていることに意識を向け、脳と神経を安心させます。
腰の動きから始めるのではなく、まず目を閉じたまま、目を自由に動かしてみましょう。
動かさせる、のではなく、むしろ眼球が暗闇の中で動く自由を味わってみます。

こんどはそれに小さくあごの動きを伴わせてみます。あごは、自由に動きますか。口を開けたり閉じたりしてもいいでしょう。呼吸にあわせて動かすと、決してそれは大きな動きではありません。でも、きっと首の動きを伴うはずです。
今度はそれに少し、背骨の動きをつけてみましょう。眼球、あご、首、背骨が調和して動くのを感じてみましょう。

今度は、うつぶせになって両手を重ねておでこの下におきます。
コブラのポーズは腰痛をもっている人にとって、恐怖です。腰痛持ちの人、というよりは、腰痛持ちの人の脳と神経が、腰に動きを加えることを怖れているのです。ですから、腰は安全なままだから、というメッセージを送りながら行うことが大切です。

先ほどと同じように、眼球の動きから始めてみましょう。目を動かします。次に、手をコブラのポーズの一に準備します。このポーズでは腰を守るだけではなく避けなければいけないのは首が後ろに過度に反り返ってしまうことです。ですので、目の上下動に合わせて軽く状態を起こし、頭は首の延長線上にあるように心がけます。目の動きに、ほんのり首と背中の丈夫の動きが伴うだけです。腰は、動かしません。

この動きに慣れてきたら、今度は腹筋を意識したときに、おなかが床を押す感覚を味わってみましょう。腰を使うのではなく、腹筋で、身体と地面が拮抗しあう感じを感じてみます。さらに、足の甲と、手のひらで地面をしっかり押してみるのと、そうでないのと、ポーズのやりやすさの違いを感じてみましょう。腰を使わなくても、これだけ身体の中で、上下に伸びる感覚や、力を入れるー抜く、の波を感じることができるのです。

今度は四つん這いになります。キャットアンドカウも、腰に痛みを抱えている人にとってはつい尻込みしてしまうポーズです。腰を動かすのですから。ですので、まず身体に安心を信じ込ませなくてはなりません。
四つん這いになって、背中はフラットにしたまま、目をつぶり眼球を上下に動かしてみます。動いているのは、目だけです。次に、それに小さくあごと、首と、背中丈夫の動きをつけてみます。コブラのポーズと同じように、首がぐきっと反り返らないように、あくまで目の動きをあご、首が優しく追いかけます。吸う、吐くにあわせ、背中の上部だけがゆっくりとした波のように動きます。

子供のポーズでいったんお休みしましょう。

いよいよ、二本の脚で直立しています。
腰の動きから始めません。まず、目を閉じて同じように眼球だけを動かします。
慣れてきたら、それにあごと首と背骨の動きをつけていき、ゆっくりとした動きを味わいます。
やっとここにきて、骨盤を小さく動かしていきましょう。
軽く膝を曲げると骨盤は後傾します。今度は膝をピンと伸ばすと、前傾します。この小さな動きを呼吸にあわせて繰り返してみます。張って、緩めて、のゆっくりとしたリズムに乗っていきます。

さあ、もう一度あおむけになってみます。さっきあおむけになったときと、身体の感じが違いますか?
腰を脅したりはしないから、大丈夫だよ、と身体が安心してくれたでしょうか。

慢性的な痛みをもった人へのアプローチは、このようにひとつの動きをとても丁寧にブレイクダウンし、痛みがあるところは脅さず、それ以外のところを呼吸にあわせて丁寧に動かしていきます。ヨガのポーズの完成形を作り上げることではなく、自分の身体のどこに動きがあって、どんな風に動いているかを観察する時間こそがヨガセラピーなのです。

文章では伝えきれないぐらい、ゆっくりとしたプロセスです。
腰痛がない方もぜひ試してみてください。

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