ヨガはローテクです
ヨガはスポーツ科学ではありません。むしろローテクです。
このポーズ、この呼吸法を取り入れたから、パフォーマンスが劇的にアップする、ということを保証するものではありません。むしろ、これまでのスポーツ科学の限界を補ってくれるものだと思っています。
現代人はセラピーに結果を急ぐ傾向があります。
効かないセラピーはすぐにやめられ、次のセラピーが探されます。薬もすぐ劇的に効くものが好まれます。
しかし私たちの命とはもっと大きな流れの中にあるものです。
ヨガの背景にあるのは、アーユルヴェーダという生命の科学です。これは、もっと自然の法則を尊重しましょう、というものです。自然はものごとを単純にし、人間は複雑にします。
マルチディメンショナル・コンディショニング
温故知新としてヨガを学んでいくと、カラリパヤットゥと呼ばれる、マルマ医学に基づいた古代のマーシャルアーツの存在を知ることになります。マルマとは急所という意味であり、カラリパヤットゥは、護身術です。ヨガやアーユルヴェーダ(医学)は、戦(烈)のときに、いかに危険を予防し、負傷を癒すか、という視点で発達してきました。アーユルヴェーダが内科よりの治療を担当しているのに対し、マルマ医学、そしてカラリパヤットゥは外科的な予防と回復を得意としています。
クロストレーニングとしてのヨガも、現代をスポーツとともに生きるアスリートたちが、いかにサバイブし、活躍していけるかを、内科外科そしてメンタルという多方面からサポートしていくものでしょう。
2020年のオリンピックに向け、最先端のスポーツ科学と、温故知新ローテクのヨガが手を取り合って選手たちのコンディショニングに一役買ってくれることを願います。
2015.9.16